介護保険の導入で広がる商機 ‐日本の経験を中国の高齢者に‐ 【番組レビュー】

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2017年7月12日に放送されたJETRO「世界は今」では、日本の介護関連企業における中国市場への可能性について語られました。中国の高齢者人口(65歳以上)は2015年末時点で約1億4300万人と日本総人口を超えており、今後も増加する見込みです。

中国は対策として介護保険制度の本格的導入を目指しており、上海、青島などの都市への試験的導入の後、2020年までに全国へ広げていく予定です。介護保険が導入、適用されれば、利用者の負担は減り、製品やサービスの恩恵を受けやすくなります。

そこに見出される日本企業の商機に関して、紹介しています。

中国が求める日本の介護

中国で6月に開かれた第12回中国国際福祉機器展示会では、欧米や日本含め約330社の企業が出展し、その製品をPRしました。

中国は、すでに高齢化社会が訪れている日本に、これまで培われた技術の提供や人材面での交流を望んでいます。その一例として、サンガホールディングスによる介護施設の運営とフランスベッドによる介護用ベッドレンタル事業が紹介されています。

サンガホールディングスは介護施設運営において、質の高いサービスにより高評価を得ています。一方、課題としてはスタッフの教育を挙げており、日本と同水準のサービスは行われていないようでした。

ただ、日本と中国のサービスの質を比べるとその差が度々話題になりますが、近年では差が縮まっているようで、同社の方は今後の生き残りに向け、中国でのより良いサービスを追求し、日本に逆輸入していくようなスタイルで臨む必要があると言います。

フランスベッドは、30年以上前に介護用ベッドのレンタルサービスを始め、中国でも同事業を展開しているメーカーです。その過程で直面したのは、ベッドレンタルに対する意識の違いだと言っています。中国では他人が使ったベッドは汚い、誰かが死んだベッドなんて縁起でもない、といった意識が根強くあるようです。

しかし最近では潮流は変わりつつあり、明日にも退院している要介護者のため、病院で使っているようなベッドを借りたい、と言う声も出てきています。

このように、介護に関するニーズは高まっており、日本企業にも多くのチャンスがありそうです。

中国における介護ビジネスの可能性

では、介護における可能性全体をみた場合、より裾野が広いのはどこでしょうか。

それは在宅介護だと考えられます。

中国政府は高齢者向けサービスを在宅、地域、施設に分けて実施するとしています。そして、それぞれにかける比重は、2006年の上海や2009年の北京の方針では在宅90%、地域6~7%、施設3~4%でした。

つまり、在宅での介護を中心としてサービスを行っていく、というわけです。

この在宅中心の傾向は日本でもみられます。サービス利用者側の視点になりますが、厚生労働省の資料では、在宅サービス利用者は2000年の97万人から2015年には382万人へと伸びています。施設利用者は同期間で52万人から90万人でした。

もとより、中国では親の面倒は子がみる、という考えが強く、施設希望者も増えてはいるものの、あまり大勢は変わっていないようにみえます。

となると、門戸は在宅介護を対象にしたレンタルサービスなどに比較的大きく開かれていると考えられます。レンタル用品が保険の対象になる都市も出てきており、また体格で似る日本人の製品は、欧米企業の製品より親和性が高いといった身体的な面もあります。

ただ、やはり避けて通れないのが介護に対する考え方、介護用品に対する意識の違いです。

フランスベッドの事例にあるように、意識の相違が障壁となる場合もあります。日本で介護のキーワードとされる「自立支援」の考えも、以前の中国にはみられませんでした。高齢者自身の主体性を重視するよりは、スタッフが何から何まで介護するというやり方が一般的です。

しかし、そんな日本的介護の考え方、情報が広まり、受け入れられれば、商機はさらに広がると思われます。情報がないと、価格のみが注目され、高品質ゆえに高価格な日本製品は敬遠されることもあります。

まずは参入する領域を見極め、入念な情報説明と共に製品・サービスを提供する、というのも一手かもしれません。

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