【5】労働力の持続可能性を維持するには―働き方改革と単価見直し

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「台所」が香港の雑誌で話題に

香港の雑誌「U Magazine」の取材を受けた際に話題になったのは、旅館の台所でした。台所で家族そろって談笑しながら料理を作っている風景がメイン写真として掲載され、一般的なステレオタイプとしての日本旅館としてではなく、家族経営の小規模旅館として雑誌の記事で紹介されました。

2世代で経営している山城屋―それぞれが役割

山城屋は2世代で経営している旅館です。本の著者である二宮謙児さんが代表として働き、その奥さんが女将として、奥さんの母が大女将として働いています。

代表である二宮さんは、雑誌や観光業者に山城屋の情報を発信しています。それだけでなく、町おこし事業などにも積極的に協力しています。一方、コミュニケーションのある女将は、個々の宿泊客に合った丁寧な対応に定評があります。女将の丁寧な対応は、口コミで拡散し、山城屋の魅力の1つになっているのです。さらに、大女将は、料理長として山城屋の台所を管理しています。口コミで高評価の料理は、大女将の手によって作られています。

このように個人の働きが集まって運営している山城屋ですが、従業員の高齢化が進んでいます。さらに、後継者不足も深刻です。そのため、働き方改革が求められるのです。

働き方改革―週休2日制を導入

宿泊業界は人手不足だけでなく、後継者不足も深刻な状況です。その理由の一つとして、旅館そのものの魅力の無さがあると山城屋代表の二宮さんは考えています。

そこで、山城屋では水曜日と木曜日を定休日にしました。週休2日制は、経済的リスクが大きく、残り5日間をフル稼働しなければ成立しない営業スタイルであると言えます。

しかし、週休2日制によって、生活のリズムを自ら作り、仕事以外の生きがいや楽しみを見出すことができるようになりました。

盆・暮れ・正月も休む

盆・暮れ・正月などの特日と言われる、1年のうち普通の旅館では特別料金を設定している日に関しても休むことにしました。年間を通してみれば、世界では様々な祝祭日があります。山城屋のように世界中の人々を対象に考えたとき、日本の祝祭日に合わせる必要はなくなりつつあるのです。

宿泊単価のアップ

小規模家族旅館の特徴として、宿泊単価を下げてしまい、狭い地域の中で安売り競争になってしまうということがあります。

安売りしてしまうと、利益確保のためにコストを下げることになり、最終的にはサービスの低下につながってしまいます。これが連鎖的に起こり、地域全体のレベルを下げてしまうことになるのです。

そこで、山城屋では宿泊単価の見直しを行いました。それに伴い、宿泊客の期待値も上がることにはなりますが、稼働率が上がっていた山城屋では口コミの評価が下がるということはありませんでした。

持続可能性の維持

週休2日制の導入や盆・暮れ・正月も休むことなどによって、仕事とそれ以外を区別し、生活のリズムを整えることができました。さらに、山城屋は宿泊単価の見直しを行うことによって、労働力の持続可能性を維持しています。

外国人旅行客に注目したことが、働き方を今一度考えなおすきっかけになったともいえるでしょう。

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